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「狐と狸と大統領―ロシアを見る目」読み終わりました。
2008年 05月 25日
「狐と狸と大統領―ロシアを見る目」を読み終わりました。
いつ読み終わったかというと5月の連休にロシアへいくちょっと前なので、 いまから一ヶ月ほど前ですね。 買ったのがその1ヶ月ほど前なので、やはり一ヶ月くらいかけてのろのろ 読んでいたことになります。 日本にいると、ロシアはなんか米英にたてつくよくない国で、その音頭をとっているのが プーチン(前)政権で、なんか独裁政府っぽくてちょっとコワい というトーンのニュースが報道されて、そのようなイメージがインストールされている方が 多いのではないかと思います。 狐と狸と大統領―ロシアを見る目 小林 和男 / / 日本放送出版協会 ISBN : 4140812788 「狐と狸と大統領―ロシアを見る目」の著者小林 和男さんは、日本のそのような報道状況に 対して、ほんとにそうなの?と懐疑の目線を提示するところから書き起こします。 そんなわるい国のわるい(前)大統領が、なんでロシア国民の圧倒的な人気と支持を 得ているのか、ロシア人はみんなだまされているのか?そんなもんなのか? とシンプルなギモンを提示されます。 そして、その本の内容はといいますと、プーチン(前)大統領と直接面談した内容や ゴルバチョフ元ソ連大統領との面談内容など、たいへん読み応えのあるものでした。 NHKという日本の国営報道機関の報道関係者の方にこのような視点をもたれている方がいらっしゃるのは、たいへん心強いかぎりです。 たとえば、あまり大きく報道されなかった5月11日のプーチン首相と五輪金メダリストの柔道家・山下東海大教授との交流なども、この本を読んでおくとその背景を理解することができます。 プーチン首相招待で「柔道交流推進」夕食会(毎日Jp2008/5/12記事) 「ロシアのプーチン首相は11日夜、首相府迎賓館にロス五輪金メダリストの山下泰裕・東海大教授ら日本の柔道家を招き、夕食会を開いた。プーチン氏が7日に大統領職を退任、8日に首相に就任した後、日本の著名人と会うのは初めて。若いころから柔道に親しんできたプーチン氏は、改めて日本の柔道への敬意を示した。」(毎日Jp2008/5/12記事より引用) 著者小林 和男さんは、プーチン前大統領の柔道の師匠にまで会いにいって、お話をうかがったりしていて、その内容が書かれています。 基本的に大きな関心がないことが前提ですと、テレビやいろいろなマスメディアで表現される論調がなにげなく印象づけられてしまいますので、その影響を受けている方々の中からこの本を手にとって読んでいただける方がどれほどいらっしゃるかわかりませんが、なにかの気まぐれでもぜひ読んでいただきたいと思える本でした。 でも、テキストの分量には限りがありますので、具体的な事象の詳細までは描ききれていませんので、はなからロシアがきらいな方々を説得できるようものでもないので、ある程度ロシアが好きなひとが著者の論調に同意しながら読むという感じにならざるを得ない面はあるかもしれません。 ソ連の解体に目だったパフォーマンスを行い、日本のマスコミも好意的に扱っていたり、いまも扱う傾向にあるエリツィン元大統領とその関係者が、ロシア国民になぜ人気がないのかも描かれていますので、納得いかれる方は読んでみていただきたいと思います。 エリツィン政権下の不正な経済施策は、下記の加藤志津子教授の本に詳しく研究されています。このような専門書となると読者量は激減してしまいますので、エリツィン政権がどんなものであったのかを知り得る日本人の数はかなり限られたものになってしまうのかもしれません。 市場経済移行期のロシア企業―ゴルバチョフ、エリツィン、プーチンの時代 加藤 志津子 / / 文眞堂 ISBN : 4830945532 プーチン前政権も恩赦によりエリツィン一家の不正は罪を問わないとしていますし、一家との取引で形成されたオルガリヒとも一定の妥協がありますので、ロシア経済社会の完全な健全化という点で限界があるのかもしれませんが、メドベージェフ政権下でさらによりよい方向に進んでいくことを願っています。
by prncespycckaya
| 2008-05-25 12:37
| ロシアが描かれている
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